2006年07月01日

ハイビジョンの必要とする帯域とは

H.264のオフラインソフトウェア・エンコード(NEL、写真)、やXVD(背景、製品)などの最新技術を利用すれば、デジタル・ハイビジョンが3Mbps程度まで圧縮できます。それらを利用すれば、現状の地上波デジタルのビットレート(15Mbps)でも余裕をもってハイビジョン放送ができてしまいますね...でも、絶対にそのようなことを許さないだろうなぁ、

だってそのような低ビットレート(3Mbpsから8Mbps程度)でHD放送が実現できるとなると、「あれぇ、CS放送で200チャンネル全部ハイビジョン相当のHD放送ができるじゃない!!」とか、「んっ、BDもHD DVDも要らないじゃん、だって現行のDVDにHD映像が記録できるじゃない」ってことになると、大変なことになってしまうからです。

これは、誤解を与えるのではないでしょうか。確かに、3Mbpsでもハイビジョンで記録することはできます。品質を気にしなければ。 ハイビジョンというのは、飽くまでも解像度のことであって、ハイビジョン=情報量がおおい というわけではありません。ハイビジョンというのは、情報量を多くすることができるだけなのです。

Xbox360は、しきりにハイデフハイデフとうたっています。一方、ピクサーのCG映画やスクウェア・エニックスのCG作品はDVDで発売されています。つまり、スタンダード・デフィニション、SDです。 スペック的には、ハイデフ、つまりHDの方が情報量は多いのです(Xbox360の一部のソフトは、ハイデフであってもHDではありませんが…ここではHDのソフトに限定します)。 しかし、Xbox360のリアルタイムレンダの映像のほうが、ピクサーのCGアニメよりもきれいだという人は皆無でしょう。

変な比喩が入ってしまいましたが、要するにハイビジョンといってもぴんからきりまであるのです。

そんな話をすると、3Mbpsや8Mbpsで、デジタル・ハイビジョンレベルのHD高精細が実現できるわけも無い、って語る人が出るのだろうけれど、私が30分以上目を凝らし視ても、画面にモザイクは見えませんでしたよ!!! どこぞの、サッカー中継みたいに..

やはり、古川氏は典型的なPC業界の人なのでしょう。 圧縮からくるブロックノイズを消し去ることは容易です。しかし、安易なDNRはデータ量をそぎ落としてしまいます。ディティールの情報が削られ、微妙な光の加減は跡形もなくなってしまうのです。 画質というのは、S/N比だけで決められるものではないのです。

私は、HD DVDの映像を見る機会があったのですが、正直に言わせてもらうと、ノイズが少ないだけ。ノッペリとしていて、いかにもデジタルな映像なのです。 勿論、ビットレート不足な地上波デジタルよりはマシですし、何を間違ったのかリンギングだらけなDVDよりもマシです。しかし、フルHDのディスプレーは暇をもてあましていました。

ビットレート不足な地上波デジタル

地上波デジタルに関して、誤解の無い様に付け加えておきますと、 スポーツ中継のように、激しい動作が多く、かつ場面がころころ切り替わると、ついていけなくなってしまうのだ。その場合、コマ落ちをするのではなく解像度が犠牲になってしまう。そのため、画面にモザイクが掛かったようになるのだ。 同じことが、例えばマラソンでも起こる。観客の拍手に領域を喰われてしまったり。 のような現象は、地上波デジタルの問題だけではない可能性があります。マラソンなどの中継では、無線通信等の帯域が十分でない回線を経由することがあるため、その時点でデータに大きな損失がおこります。

本当に美しいハイビジョン映像のためには、BDのような大容量メディアが必要なのです。

以下は、蛇足ですが…。 NAB2006で素晴らしい「スーパーハイビジョンの展示」をされ多くの来場者の眼を魅了されましたが 私は、愛地球博でスーパーハイビジョンを見る機会がありました。残念なことに、スーパーハービジョンも20.2chのサラウンドシステムもお世辞にもよいとはいえませんでした。 スーパーハイビジョンは、ひどい色収差は目立っていましたし、色や階調表現もいまいちといわざるを得ません。正直なところ、フルHDのLCOSフロントプロジェクターの方がきれいだと感じました。 スーパーハイビジョンは、4kのLCOSフロントプロジェクター(試作品)を用いていたらしいのですが…。 サラウンドシステムは、音の歪みが酷くて酷くて…。 同じ会場には、6k1kの映像をレーザー光源をMEMSでできているマイクロリボンによって走査するフロントプロジェクターを用いた展示も行われていたのですが、こちらのほうが遥かに美しい映像でした。 画素数だけで比較するなら、こちらのほうが劣っているのですが。

映像というのもはノイズやら画素数やらだけで画質が決まるものではないのです。

この記事へのコメント
ハイビジョン、ハイデフ、HDのそれぞれの定義が微妙でありますが、というのは欧米の定義と文化にはハイビジョンやハイデフという概念や言葉が無いので..(もちろん、ハイ・デフィニッションという言葉はあります)

敢えて、それらの言葉をちりばめて表現していたのは、展示をしていた主催者がそれをHD映像ではなく、ハイビジョン相当などと表現していたからなのですが、かえってそれがみなさんに混乱を与えてしまったのかもしれません。もうしわけありません。

私としては、XVDのブロックノイズが出ない点は、「XVDはウェーブレットなので、DCTみたいなブロックノイズが出るわけない、逆にウェーブレットの場合は綺麗に見えるけれど淡いスリガラスを通したように破綻してくるのはコーデックの特質上、既知のこと、そんなことも知らないの古川さん」と突っ込まれることを期待してブログを書いたのだけれど、未だに誰もそこを突いてくれないので残念でありました。

もちろん私も高精細=ハイビジョン=HD=ハイデフというようら乱暴な議論を持ちかけるつもりはありません。しかしながら、マルチパスエンコーディングで1.9MbpsのH.264圧縮を再生した1920x1080の再生映像を見たときには、本当にビックリしました。15Mbps以下のMPEG2、1080i映像と比較すれば10人が10人とも1.9MbpsのH.264のほうが綺麗と言うだおうな、と受け止めました。

> Xbox360の一部のソフトは、ハイデフであってもHDではありませんが
これは、全く別の理由です。AACの再生に「CPUパワーが食われてしまって、実質500line以下しかレンダリングできていないのが主な理由です。

愛地球博のスーパーハイビジョン映像にて色収差が目立ったのは、投影にJVC製DILAを2台積んで2面打ちをしたからで、プロジェクタの設営の問題です。2台のプロジェクタは設置後も重力で落ちてくるので、本当は毎日収差補正の追い込み調整をしなければいけなかったのですが、ご覧になった日はそれが十分でなかったのでしょう。

私は現在の仕事場で、フルスペックの4KデジタルシネマをソニーのXRDにて、非圧縮のデジタルシネマ映像を毎日いつでも再生できる環境にあるので..普通のパソコン屋さんよりは眼が肥えているとは思います。

レーザー光源のMEMSは焦点という概念が無いのでとてもシャープな映像に見えますが、カラーリストが見たら現在の色表現では映画の再生を許さないと思います。HD映像がその色空間もHDの定義に入れている以上、6Kx1Kの高精細を持ってしてもそれをHDと定義するのは難しいかもしれません。

BDの転送速度や要領に関しては詳細を存じ上げていますが、それと”本当に美しいハイビジョン映像のためには、BDのような大容量メディアが必要なのです。”との記述がありますが...
”本当に美しいハイビジョン映像とBD”は無関係と思われます。

現状では、非圧縮のHD映像を格納できる装置はハードディスクしかなく、光ファイルのストレージと巨大なメモリバッファを格納した日本SGI殿の映像サーバーは例外ではありますが...

もしHD DVDとBDの違いがあるのであれば、それはエンコードのプロセスの問題であり、かつそれを再生する映像回路の問題であり、HD DVDやBDのせいではないと思います。

HD DVDで再生される「アポロ13」は全く感動の薄い映像で、ファロージャのDCRで再生されるDVDにすら劣っているのではないかと思います。もう何年も眼にしている10MbpsのVC1で表現されるネットワーク経由のHD再生のほうが、アポロ13号の発射シーンなどはるかに高精細であり、感動も与えてくれるのは何故なのだろうか..と思った次第。

ごめんなさい。細かく口を挟むつもりはなかったのですが、今後も私のブログにも貴殿のコメントやトラックバックを待っています。

パソコン、放送、映像、家電業界に関係無く、HD映像の素晴らしさを多くの人に体験してもらえるように頑張っていきましょう!!

では、ふるかわでした
Posted by 古川享(サム本人) at 2006年07月01日 05:29
非常に丁寧なお返事を下さり、ありがとうございました。

>ハイビジョン、ハイデフ、HDのそれぞれの定義が微妙でありますが、というのは欧米の定義と文化にはハイビジョンやハイデフという概念や言葉が無いので..(もちろん、ハイ・デフィニッションという言葉はあります)

この場においては、ハイビジョン=縦650画素以上というJEITAの定義を用いました。この定義では、1080iの信号はあまり活用できませんが…。


>私としては、XVDのブロックノイズが出ない点は、「XVDはウェーブレットなので、DCTみたいなブロックノイズが出るわけない、逆にウェーブレットの場合は綺麗に見えるけれど淡いスリガラスを通したように破綻してくるのはコーデックの特質上、既知のこと、そんなことも知らないの古川さん」と突っ込まれることを期待してブログを書いたのだけれど、未だに誰もそこを突いてくれないので残念でありました。

恥ずかしながら、技術的な仕様に関しては全く存じませんでした。


>もちろん私も高精細=ハイビジョン= HD=ハイデフというようら乱暴な議論を持ちかけるつもりはありません。しかしながら、マルチパスエンコーディングで1.9MbpsのH.264圧縮を再生した1920x1080の再生映像を見たときには、本当にビックリしました。15Mbps以下のMPEG2、1080i映像と比較すれば10人が10人とも1.9MbpsのH.264のほうが綺麗と言うだおうな、と受け止めました。

そうでしたか。1.9Mbpsのデモを目にしたことはありませんが、HD DVD(エンコードはワーナー)でもあまりきれいと思えず、正直なところ15MbpsのMPEG2よりはマシとしか感じなかったもので。


>> Xbox360の一部のソフトは、ハイデフであってもHDではありませんが
>これは、全く別の理由です。AACの再生に「CPUパワーが食われてしまって、実質500line以下しかレンダリングできていないのが主な理由です。

それは、知りませんでした。一部のタイトルでは1024*600でレンダリングされていたらしいのですが、これなら※2*のFSAAをかけてもeDRAMにきっちり収まるので、eDRAMの容量不足によるものだと思っていました。
※描画するピクセル数*(RGBαチャンネル各8bit+Zバッファ32bit)*2倍のFSAA、よって(1024*600)*(4+4)*2=9830400byteと10MbyteのeDRAMにきっちり収まります。


>愛地球博のスーパーハイビジョン映像にて色収差が目立ったのは、投影にJVC製DILAを2台積んで2面打ちをしたからで、プロジェクタの設営の問題です。 2台のプロジェクタは設置後も重力で落ちてくるので、本当は毎日収差補正の追い込み調整をしなければいけなかったのですが、ご覧になった日はそれが十分でなかったのでしょう。

要するに、RとBを受け持つD-ILAプロジェクターとGを2つ受け持つD-ILAのプロジェクターの映像を合成したということでよろしいのでしょうか。それとも、4k2kのプロジェクターを明るさを確保するために2台用いたということなのでしょうか。
どちらの場合であれ、2機のプロジェクターがずれた場合には、コンバージェンスが狂うことはあっても、画面の4隅に色収差があらわれることは無いのではないでしょうか。

続く
Posted by El Dorado(筆者) at 2006年07月01日 15:22
>私は現在の仕事場で、フルスペックの4KデジタルシネマをソニーのXRDにて、非圧縮のデジタルシネマ映像を毎日いつでも再生できる環境にあるので..普通のパソコン屋さんよりは眼が肥えているとは思います。

無礼な発言をしてしまい、申し訳ございませんでした。この様な事を書いたのは、ノイズばかりに目がいっているように感じてしまったものでして…。PC業界のひとと人くくりにしてしまったのは、PCメーカーは勿論のことAV機器メーカーが発売したテレビパソコンであっても、信じられないほどに酷い画質のものがあったからです。そのテレビパソコンには、3D-DNRが搭載されていたのですが、それのレベルがあまりにも低いために、ノイズは減るもののそれ以上に信号がばっさりと切り落とされてしまっていました。おかしな話で、3D-DNRをバイパスしたほうが遥かにきれいな映像だったのです。その後のテレビパソコンを見ていても、パソコン業界の人々はモジュールを組み合わせることしか考えていず、そのモジュールの弊害を見落としているように感じているからです。


>レーザー光源のMEMSは焦点という概念が無いのでとてもシャープな映像に見えますが、カラーリストが見たら現在の色表現では映画の再生を許さないと思います。HD映像がその色空間もHDの定義に入れている以上、6Kx1Kの高精細を持ってしてもそれをHDと定義するのは難しいかもしれません。

ガモットはLEDよりも広いとの事なので、調整次第で解消できるのではないでしょうか。もっとも、SXRDの実用化すら最近なのですから、あまり期待できないでしょうけれど。


>BDの転送速度や要領に関しては詳細を存じ上げていますが、それと”本当に美しいハイビジョン映像のためには、BDのような大容量メディアが必要なのです。”との記述がありますが...
”本当に美しいハイビジョン映像とBD”は無関係と思われます。
もしHD DVDとBDの違いがあるのであれば、それはエンコードのプロセスの問題であり、かつそれを再生する映像回路の問題であり、HD DVDやBDのせいではないと思います。

今まで素晴らしい圧縮技術が登場してきたことは確かですが、やはり圧縮による弊害はなかなか隠せないと感じています。ですから、容量と転送レートがなるべく高くなければならないでしょう。勿論、HD DVDでもエンコード技師がなれれば、大分よい画質となるでしょう。しかし、それは8bit環境においてのみではないでしょうか。8bitの映像でも、時間軸方向にノイズを挟み込むことで、8bit以上の色深度を稼ぐことができます。現時点では、直視型液晶にせよPDPにせよ8bitを意味がある形で超えることはできていませんが、将来的にはできるでしょう。そうなったときに、高圧縮でも8bit以上の色深度を再現できるのかは疑問です。
要するに、HD DVDでも数年間はもつかも知れません。しかし、その先はというと疑問なのです。その頃には、光ディスクのようなトラディショナルなものではなく、ネット配信が主流になっているといわれています。しかし、最近は動画配信やP2Pなどによるトラフィックの増加にも悲鳴を上げているような現状では、その頃には多くの地域において安定した高速回線が整備されているとは信じがたいのです。


>パソコン、放送、映像、家電業界に関係無く、HD映像の素晴らしさを多くの人に体験してもらえるように頑張っていきましょう!!

業界の方が、この様なことを仰るとは本当にありがたい限りです。最近では、ユーザーにHDの感動をいかにして伝えられるかの主張ではなく、他社のシステム批判ばかり目にしているので、一ユーザーとしては寂しいです。
Posted by El Dorado(筆者) at 2006年07月01日 15:23
コメントを書く(記事に対する質問などもこちらにお願いします)
お名前:

メールアドレス:

ウェブサイトアドレス:

コメント:

認証コード: [画像の中の文字を半角で入力してください。]
認証コード
この記事へのトラックバック

個人的な日記とか
Excerpt: 日記 まぁ、個人的に書いておきたいことがあったらここにでも書いておいてください。 他人のものを勝手にいじらないように! 日記 tetsuyaの日記 2006/08/01 20..
Weblog: 良い子のうぃき (PukiWiki/TrackBack 0.3)
Tracked: 2006-08-11 17:11

8月の日記
Excerpt: 8月の日記 8月の日記 tetsuyaの日記 2006/08/01 2006/08/02 2006/08/04 2006/08/06 2006/08/07 20..
Weblog: 良い子のうぃき (PukiWiki/TrackBack 0.3)
Tracked: 2006-09-02 08:28
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。