2006年07月15日

オーディオとオカルトとジッターと

オーディオの世界では、SPDIF(光デジタル)や同軸デジタルのケーブル、光学ドライブのピックや振動によって音が変わるといわれています。 また、オーディオマニアを兼ねているビジュアルマニア(映像マニア)には、天候によってBSデジタルの画質に微妙な影響がでる、メディアによってD-VHS等の画質が変化すると主張する人が多く存在する様に感じます。

その様な主張をする人の多くは、ジッターによってデータは変わらねど時間軸方向の歪みが生ずるためにデジタルであっても画質に変調をきたすという理論を支持しているようです。

図解されてしまうと、一見当たっているように感じますが、本当にそれは正しいのでしょうか。

デジタルデータであっても、ジッターが発生する事は当然です。しかし、デジタルデータは、ノイズやジッターによる影響をある程度排除できます。それにより、劣化しない事が特長です。

もし、元のデータに復元が困難なほどにノイズやジッターの影響を受けた場合はどうなるのでしょう。音楽であれば音飛びとなり、映像であれば(大抵)ブロック状の欠落が発生します。 この様な事態を避けるために、多少のデータの損傷はエラー訂正によって復元できる様になっています。エラー訂正は、訂正可能な範囲内においては元の信号と完全に一致する信号を出力します。

ジッターによる音質の変化を主張する人は、ジッターは容易に補正できない故に影響がでると主張するかもしれません。

もし、ジッターが完全に除去できれなかったとしても、(アナログ記録の)テープのジッターの様な変化はあらわれません。 デジタル出力されたPCMデータを受け取った機械(アンプなど)は、そのデータをマルチビットの信号(CDの場合は16bit)に構築します。 また、2ch分の信号が1つのデータとして送られてきているので、左右に分離する必要があります。つまり、元の信号のジッターが再生音にのるわけではありません。 また、サラウンドのデータを再生している場合は、圧縮されているものを解凍せねばなりません。 SACDのDSD信号を再生している場合は、規格の関係で暗号化されています。ですから、信号を受け取ったら復号せねばなりません。 BSデジタルの場合には、MPEG2でエンコードされているのでそれをデコードする必要があります。 HDMI接続による映像出力においても、1画素に対して8bit(以上)の信号をRGB各色にもっているものが出力されるため、送られてきたデータからそれを構築しなければなりません。

もし、ジッターによって完全に元の信号、つまりジッターのない信号、に復元できなかったなら先の処理は行えません。 なぜなら、正確なデータを識別していない限り、信号を再構築できないからです。もし、再構築できなかった場合には微妙な変化として現れるのではなく、特定範囲の信号が完全に欠落してしまいます。 つまり、音とびなどにつながります。

では、ジッターが全く影響を及ぼさないのでしょうか。 DACは、ジッターによる影響を受けます。ですから、マスタークロックの精度が非常に重要となります。これは、映像機器であれ音響機器であれ変わりません。 フルデジタルアンプも、DAC・プリアンプ・パワーアンプの集合のようなものなので、ジッターの影響を強く受けます。

しかし、何度も主張しているようにDACに到達するまでにはいくつもの処理工程を経ます。 もし、その処理工程への入力信号に大きなジッターが含まれていても、処理を行うにはジッターを取り除かなければ行えません。 そして、取り除けなかった場合には誰でもはっきりとわかる問題として現れるのです。

最後に、1つの譬えを考えてみましょう。パソコンで文章を作成し、それをCD-Rに記録するとします。 質の悪いディスクを用いたところ、文章はスラング混じりの汚いものとなってしまいました。 この様な事があると思いますか?

今まで、これを書くべきか否かと迷っていました。多くのオーディオファンの感情を逆撫でするのも…ねぇ。 まぁ、映像系ではキツめのことを書いていますし、いいのかな、と。

補足となりますが、SPDIFで接続する場合は、機械間が絶縁されています。しかし、同軸で接続する場合は絶縁がとれません。その為に、シャーシ電位が変動する恐れはあります。しかし、グラウンドの電位を安定させる事が目的であれば、わずか数mで数十万円もするケーブルを用いるよりはアースをとる事の方が効果的でしょう。

もし、ジッターによって音質が変化する事を説明する事ができる方がいらしたら、コメント等にてお教え頂ければ幸いです。

この記事へのコメント
はじめまして。

私はオーディオには素人なのですが、このエントリーを読んで、以下のサイトを連想しました。
ご存じでしたら申し訳ありません。


http://tenjin.coara.or.jp/~tomoyaz/higa9905.html
Posted by bn2islander at 2006年07月21日 23:49
はじめまして、bn2islander様。

リンク先の文章を拝見いたしました。確かに、CDの状態は出力波形に影響を与えているようです。しかし、その実験においては、DACやアンプ等にも振動が伝わっています。ですから、デジタルの領域において信号に変化がなかったとしても、アナログの領域において変化する恐れがありますので、正確な実験ではないと私は思います。
もし、正確な実験を行うのであれば、CDプレーヤーからデジタル出力されたバイナリデータを比較するべきではないでしょうか。


余談ですが、市販のCDよりもCD-Rの方が品質が良い場合もあるようです。
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20060612/dal239.htm

疑問などがありましたら、再びコメントしていただければ幸いです。
Posted by El Dorado(筆者) at 2006年07月23日 23:16

こんな時だからこそ、生きてる内に思いっきり楽しんでおきたい…
不謹慎なんて言うなよな!いっちまったら何もできないんだから…(´・ω・`)
http://6tr33ur.glinds.info/
Posted by 備えあれば憂いナシ!! at 2011年03月21日 06:13
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